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イントロダクション 〜香りの扉をひらく〜

どんな香りが好きですか?

lemonwater.jpgこのページをお読みの方は、
きっと「香り」にとても興味をお持ちのことと思います。


あなたは、どんな香りがお好きですか?

アロマテラピーの講座で、受講された方によくこの質問をさせていただくのですが、
レモンやラベンダー、バラなどの、
いわゆる「アロマ」の香りがお好きという方もいらっしゃいますし、
カレーや焼き肉などの食べ物の香り、取り込みたての洗濯物のにおい、
新しい本のページの匂い、はたまた赤ちゃんの匂い...
などいろんな回答があって、
毎回とても面白いです。

このように、香りの好みはかなり人それぞれ。

そして、どうしてそれが好きなの?と聞かれても、
理屈ではなかなか答えにくかったりします。

その理由は、香りを感じる機能である嗅覚が、私たちの感情とか記憶といった、
本能的な部分と関わっているからだといわれています。


香りと感情・記憶

coffee.jpgさて、わたしたちがある香りを好きなのは、
その香りによって「気分が良くなる」から、ということが多いかもしれません。

たとえばコーヒー。

わたしもコーヒー好きのひとりですが、
もしこれが「香りのない飲み物」だったら...と考えてみたらどうでしょう?

香りのまったくしないコーヒー。飲みたいと思いますか?

わたしはイヤです(笑)

苦みが、とか酸味が、濃さが、と、あれこれこだわりがあるとしても、
なにより香りがなかったら、そもそもコーヒーじゃない!と、きっとすべての人が思いますよね。

もちろん、カフェインという成分に気分をスッキリさせる作用があるというのも事実ですが、
コーヒーは、あの香りがあるからこそ「くつろぎの一杯」になるわけですね。

ミントやレモンの香りですっきりした気分になったり、
ジャスミンやバラの香りでうっとりしたり、
日本人なら「ゆず」の香りでほっこりしたり。

こういうことって、理屈ぬきのことです。
「なぜ好きな花の香りでうっとりするの?」
なんて聞かれても、「だってそうなんだもの」としか言えない、というか。

香りには、こんなふうにわたしたちの気分や感情そのものに働きかけ。動かす力があるのです。

そして、感情とも関係がありますが、わたしたちの記憶にも影響するんですね、香りって。

雨上がりのにおいで、突然子どもの頃のことを思い出したことがあります。
たまたま入ったお店の香りで、なぜか高校生時代を思い出したり、とか。
だれでもそんな経験があるんじゃないでしょうか。

アロマの精油を嗅いでもそういうことがよく起こります。
たとえば、プチグレンという精油の香りを嗅いで、「おばあちゃんのことを思い出した」という方がいらっしゃいました。

そんなふうに、嗅覚というカラダの機能と、アタマのなかの感情や記憶といった脳のシステムが、とても密接につながっているため
香りには思っている以上に大きな影響力がある、というわけなんです。


精油ってなんでしょう

精油の中身ー「香り成分」

lavender01.jpg香りが記憶や感情に影響する、ということに加えて、
もうひとつ、アロマテラピーのカギとなっているものがあります。

それはアロマテラピーで使う「精油」の一滴一滴に含まれている中身、
つまり「香りの成分(芳香成分)」の働きです。

英語でエッセンシャルオイルと呼ばれる精油、その正体はごく簡単にいうと
「植物が作り出す、香りをもつ物質」です。

植物には、花や葉っぱ、幹、果実の皮など、いろいろなところで香りのある物質を作り出す装置がそなわっているものが多くあります。
そして作り出した香りのある物質を、小さな袋のようなところに貯めています。

その「香り成分」は、ひとつひとつの植物ではわずかな量ですが、
たくさんの原料植物からそれをかき集めたものが「精油」というわけです。


「香り成分」の持つ力

dropper-sq.jpgさてその「香り成分」は、とれる植物によって違います。

また、ひとつの植物から採れる精油の中にも、
何十、何百種類というさまざまな香り成分が混ざり合っています。

それらの「香り成分」は、それぞれに特有の作用をもっていて、
薬のような働きをするものも多くあります。

作用は、たとえば
・抗菌作用(菌を殺したり無活動にして無害化する)
・鎮痛作用(神経などに働きかけて痛みをやわらげる)
といったもので、いろいろです。

え?「香り」がどうやって痛みを感じる神経に働きかけるの?
という疑問がわきますね。

もしかして...
そうなんです!

簡単にいえば精油は、人体に塗ると、目に見えないその成分が皮膚からしみこんで体内に入っていき、
身体のなかのさまざまな場所ー皮膚や筋肉や神経ーまで達するのです。
そしてそれらに働きかけるんですね。

その働きは、まさに「薬」と同じようです。

もともと、昔の薬は、薬用植物から作っていたわけです。
現代の合成薬も、薬用植物から抽出していたり、その成分をお手本としてできてきたものが多いことを考えれば、
そういう植物から採れる精油が「薬のよう」であっても不思議はありませんね。

つまり精油とは、いろいろな香りのある薬効成分が入り混じったもの、ということもできます。

精油が採れる植物によって、この成分の働きが異なるので、
それらを自分の目的にあわせて使いこなすのが、実はアロマテラピーの醍醐味なんですね!


まとめると、
・香りの脳に対する感情や記憶への刺激
・香り成分の身体に対する働き
このふたつが、アロマテラピーの中心となります。ぜひ、この2点は覚えていただけたらと思います。


現代アロマテラピーのはじまり

アロマテラピー=芳香療法

lavender02.jpg今では、アロマテラピーという言葉は、どこかで耳にしたことのある方がほとんどではないでしょうか。

ところで、「アロマテラピー」という言葉は、いったいどこで生まれたのでしょうか。
それは、今からほぼ100年ほど前のフランスで、ある一人の研究者が作ったとされています。

研究者の名はルネ=モーリス・ガットフォッセ。
香料の研究をする化学者でした。

彼は、ラベンダーなどの香りをもつ植物の精油に、傷などの治りを早める働きがあるという点に注目し、のちに一冊の本にまとめます。
その中で使用されたのが、“Aromatherapie”という言葉です。
アロマは芳香、テラピーは療法という意味の語で、その二つをくっつけて
植物の芳香成分を用いた療法、という造語を生み出したのでした。

その発想を、本当の「治療法」として体系化したのが、同じくフランスの医師であった、ジャン=バルネ博士です。

彼は医師として、研究とともに実際の臨床で精油を使用し、
多くの傷病に一定の効果を確認して、フランスのアロマテラピーの礎を築きました。

抗生物質などがすでに広まっていた医学の世界で、このような伝統治療的、かつ新しいものを普及させるのは、大変困難なことだったと思います。
でも、現在もフランスには、精油を臨床で用いて研究を引き続き行っている医師たちが少なからずいるそうです。

このように、現代アロマテラピーの出発点は、精油が身体にどのような薬理作用を示すか?に注目した、とても科学的なものでした。

どちらかというと、おしゃれな趣味・ファッション的なもの...ととらえてしまわれがちなアロマテラピーですが、
実際には「芳香療法」であり、漢方などと同じように植物療法の一分野ということができるでしょう。


注意点と選びかた

注意して、でも楽しく使いましょう

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用途に合わせて、賢く精油を選びましょう

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